インターネット経由で教育サービスを提供する会社が増えてきました。「エドテック(EdTech)=Education Tech」という言葉も注目されるようになってきました。 UDEMYなどの、MOOCと呼ばれる大型の教育サイトも登場・成功し、日本でもますますこれらのサービスが注目されそうです。 2020年には多くの学校が休業となり、遠隔授業を余儀なくされました。そういう点では、教育関連の企業は大きな追い風となっています。
MOOCとは?
MOOCとは、「Massive Open Online Courses」の略語です。
大勢の人に、オープンで、オンラインで提供される授業といったところでしょうか。 ネットを使えば、無料または低価格で、しかもより多くの人に授業を届けることができます。 ブロードバンドの普及で、動画配信のコストも大幅に下がってきました。
またスマホが普及し、移動中や出先で学ぶというスタイルも珍しくなくなってきました。 このような流れは、教育とITを融合させた「エドテック(EdTech)」などともいわれます。
MOOCの市場規模は?
MOOCは、いわゆるe-Learning(イーラーニング)のなかの一分野ですが、境界線はそんなにはっきりしているとはいえません。 そこで、参考値としてイーラーニングの市場規模の予測を紹介します。
「E-Learning Market Trends & Forecast 2014 – 2016」という調査報告書によれば、2016年の全世界でのイーラーニング市場は510億ドルになるとしています。 日本円にすると6兆円ぐらい。 2012-16年で、年間の成長率は7.9%程度ではないかと予想されています。
(参考は、こちら >>。)
一方、国内の教育市場の規模はどのようなものでしょうか。 ベネッセの調査によれば、国内の校外学習市場は1兆5000億円程度。 うち、通信教育事業は2000億円弱程度としています(2012年)。
(参考は、こちら >>。)
MOOCで有名なサイトは?
MOOCで有名なのは、カーンアカデミー、コーセラ、エデックス、ユーデミーなどです。
カーンアカデミー
カーンアカデミーは、ヘッジファンドでアナリストをしていたサルマン・カーン氏が立ち上げたオンライン教育サイトです。 無料でサイトを利用できるように、企業スポンサーで運営する仕組みをとっています。 なお、Global Education for Japan Project (GEJ)というプロジェクトでは、カーンアカデミーのビデオの日本語化していく取り組みをしています。 そのため、日本語で見れるコンテンツもあります。 リンクはこちら >>。
コーセラ
コーセラは、スタンフォード大学コンピュータサイエンス教授によって設立されました。 大学と提携して、授業コースを同サイト内で配信しています。300万人以上が利用する人気サイトとなっています。 授業は無料で、現時点ではベンチャーキャピタルからの投資によって支えられています。 今後は教育課程の認証などの雇用者への情報提供といった関連サービスで収益を上げることが検討されています。
エデックス
エデックスは、マサチューセッツ工科大学とハーバード大学によって設立されたMOOCです。 大学レベルの授業を無料で受けることができます。
ユーデミー
ユーデミーは人気の教育サイトに育っています。 ユーデミーでは無料授業もありますが、多くは有料授業(といっても普通の学校に比べればやはり安価)です。 授業は各講師が作成して登録することができます。 受講によって得られた収益は、講師とシェアされます。 人気コースは、1コースだけで億単位の売上となっています。 ユーデミーにフィーを払ったとしても、人気講師の手元には相当な額のお金が残る場合もあるようです。
日本でのMOOCは?
日本でのMOOCとしては、上場しているビジネスブレークスルーや、リクルート・ドコモなどの運営サイトがあります。
ビジネスブレークスルー
経済評論家としても有名な大前研一さんの社会人向けオンライン教育「ビジネスブレークスルー」が有名です。
ビジネス英語やMBA、起業といったテーマのレッスンが中心です。 マザーズに上場しています。
リクルート
リクルートは人材サービス、メディアサービスが主力の会社です。 教育市場にも参入しており、ネット上のデジタルコンテンツでは「受験サプリ」を提供しています。 月額980円で利用でき、会員数は30万人というから結構な数となっています。 TVCMなども活用して積極的にプロモーションをかけており、受験勉強市場においてはマーケットをおさえつつある印象もあります。
gacco
NTTドコモ・NTTナレッジ・スクウェアでは、gaccoプロジェクトを展開しています。 gaccoでは、だれでも自由に授業を受けることができます。 コースには、茂木 健一郎さんや中村 伊知哉さんの授業などが配信されています。 システムは基本無料ですが、対面授業などは有料となっております。
ベネッセ
ベネッセホールディングスは、2015年に「Udemy」を手掛ける米ユーデミーと業務提携を発表しました。
またベネッセが強い幼児教育、小中高校生向けの動画などもラインアップに加わりそうです。 参考:こちら >>。
アオイゼミ
ベンチャー系では「アオイゼミ」がライブ授業や授業動画などのコンテンツを配信。 中学、高校向けで、無料プランのほか、ライトプラン(1年契約で月900円)、プレミアムプラン(1年契約で月3,500円)といった価格体系です。 運営会社は株式会社葵で、日本ベンチャーキャピタル株式会社などから4000万円の出資を受けています。
manavee
インターネット環境があれば誰でも無料で大学受験のための勉強ができるオンライン・ラーニングのサイト。 大学受験のための予習・復習やセンター・二次試験対策が授業の中心です。 全授業無料ということでテレビ等でも紹介されました。 運営は特定非営利活動法人manaveeが行っています。 これ以外にも英語学習やプログラミング学習サイトなど、多くのベンチャー企業等が取り組んでいます。
(更新) 2017年3月閉鎖となるようです。
東京大学
東京大学では、コーセラやedXのプラットフォームを利用してMOOCの実証実験を行っています。 (参考はこちら >>。)
東大edx
https://www.edx.org/school/utokyox
東大コーセラ
https://www.coursera.org/utokyo
国内のMOOCの関連銘柄
リクルート
リクルートではスタディーサプリという学習アプリを提供しており、国内での認知度も高いです。 ただしリクルート自体は人材・広告関連が主力の企業ですので、MOOCサービス自体の売り上げはほとんど業績には関係しないでしょう。
ベネッセ
ベネッセといえば教育教材関連では大手企業です。 世界的に有名なMOOCであるUDEMYには積極的に関与しており、国内UDEMYの支援やUDEMY自体への資金供与などを行っております。
海外のMOOCの関連銘柄
チェグ CHGG
教科書の販売・レンタルを含むオンライン学習サービスを提供する企業です。 外出自粛などの追い風を受けて2020年春には一気に株価が上昇しました。
トゥーユー TWOU
教育関連のSaaS型クラウドサービスを提供する米国企業です。
K12 LRN
ネットで教育サービスを提供する米国企業。 社名からもわかるように、幼稚園生から12年生(K-12)という低学年をターゲットにしたコースウェアを提供しています。
TALエデュケーション・グループ TAL
中国のオンライン指導を行う会社です。 コロナの影響もあって、登録者数を大きく伸ばしています。