【ニュース】2022年は肥料も値上げ・高騰になる？

小麦やガソリンなど、次々と値上げが行われています。
気になるのは肥料です。価格高騰になる前に買いだめすべきでしょうか。

1 肥料値上げの原因は？

なぜ肥料価格は上がる？

ロシアとの貿易激減によって、肥料価格の高騰が懸念されています。
 
ただ、それ以前から肥料価格の上昇は始まっています。

コロナによるロックダウンは、人手不足や運輸網の停滞を招き、世界的なインフレ傾向を生み出しています。

加えて、肥料の輸出国でもある中国が国内優先を明確にし、輸出制限をすでに実施しています。


現在は、輪をかけて円安、つまり輸入品の値上げが止まりません。まさにいい材料が見当たらないという異常な状況になっています。



肥料の三大要素は尿素、リン、カリウムとされますが、いずれも価格が上昇しています。
 

尿素

主な輸入元は中国 (51%)、マレーシア(39%)及びカタール(10%)など。
その中国ですが、昨年より尿素輸出を大幅に制限し、国内優先としています。
 
以下はアメリカの尿素価格の10年チャート。
Urea - Monthly Price - Commodity Prices - Price Charts, Data, and News - IndexMundi


 

リン

日本が輸入している国の比率は、中国（38%)、ヨルダン（21%)、モロッコ（18%)及び南アフリカ(17%)。
 
中国は昨年よりリン輸出を大幅に制限し、国内優先としています。
 
以下はアメリカのリン価格で10年チャート。
Rock Phosphate - Monthly Price - Commodity Prices - Price Charts, Data, and News - IndexMundi
 

カリウム

日本が輸入している国は、カナダ (71%)及びロシア(16%)、ベラルーシなど。
 
ロシアやベラルーシからの輸入が３割近くを占めており、今回のウクライナ侵攻の影響も出ています。
 
以下はアメリカのカリウム価格の10年チャート。
Potassium Chloride - Monthly Price - Commodity Prices - Price Charts, Data, and News - IndexMundi
 


 

2 2022年前半の肥料価格は？

JAは春肥についてはモロッコなどからの輸入を増やし、例年並みを確保することができました。
肥料原料　例年並み確保モロッコからリン安緊急調達　ＪＡ全農｜JAcom 農業協同組合新聞
 
また園芸用肥料ですが、価格の大きな変動はみられません。
「全国での園芸用肥料１本値段は？2022年2月までの園芸用肥料の価格推移」発表日2022年03月18日|小売物価統計調査による価格推移 (jpmarket-conditions.com)
 
ただ、アメリカの肥料インデックスは上昇中で、肥料関連会社の株かも軒並み上昇しています。
PriceIndex - Green Markets (fertilizerpricing.com)
 
 
 

3 2022年後半の肥料価格は？

2022年後半の情報がいろいろと出てきました。
 
JA福井では６月に改定される肥料の価格が前年同期と比べ７割程度上昇するとの見通しを示しました。
 
末端価格も、かなりの急激な増加となることがほぼ確定となっています。
ロシア侵攻で肥料高騰…価格改定で1.7倍の見通し　福井県の農家が苦悩「これ以上は体力持たない」 | 経済 | 福井のニュース | 福井新聞ONLINE (fukuishimbun.co.jp)
 
 
また、ＪＡ全農は秋肥（6～10月）価格の決定内容を公表しました。
 
それによれば、
・輸入尿素が前期比で94％、
・リン類は25％、
・塩化カリ80％、
・複合肥料55％
...など大幅値上げとなります。
 
これらは県ＪＡや経済連向けであり、最終的に農家さんが買う肥料価格にどの程度反映されるかはわかりません。

ただ大幅値上げになることはほぼ間違いないでしょう。
輸入尿素 前期比94％値上げ 過去最高水準 2022（令和4）年秋肥価格
 
 

4 2023年前半の肥料価格は？

JAから11月-2023年5月までの肥料価格が提示されました。

大きく上昇したのは塩化カリで前年比131％。

輸入尿素が前年より低くなったものの、それ以外はだいたい１割増。結果、複合肥料で前年比110％となります。
＜春肥＞価格高さらに　高度化成は前期比１０％　全農


 

 

 

5 対策は？代替肥料は？

肥料高騰という事態を迎え、いろんな代替肥料の開発が進んでいます。

安くて良さそうなものがないか、絶えずアンテナをはっておきましょう。

補助

・農林水産省では「肥料価格高騰対策事業」を実施。

令和4年6月～令和5年5月に購入した肥料（本年の秋肥と来年の春肥として使用する肥料）で、 化学肥料低減の取組を行った上で前年度から増加した肥料費の7割を交付するとしています。

詳細は以下サイトを参照ください。
https://www.maff.go.jp/j/seisan/sien/sizai/s_hiryo/220729.html

・自治体別に対策を行っています。
青森県三沢市、岩手県盛岡市、静岡県駿東郡長泉町などで補助金を支出。

自分の自治体の農業支援について、ホームページ等で確認してみましょう。

汚泥

なんと佐賀市では、下水処理で生じた汚泥から肥料を作っているそうです。

これは、家庭や企業からの生活排水やし尿などを微生物で処理する際にでてくる汚泥を利用したもの。

「化学肥料が20キロ数千円となる中、10キロ20円と安価」だそうで、かなり人気になっています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/89b7dc3442f6d67743c8cace7e0834506cce95d2

竹

大和フロンティアでは、竹を材料とした「笹（ささ）サイレージ」という農産物の有機肥料が販売。

竹を粉砕して乳酸発酵させたもので、土壌改良材として成果が期待されます。

価格的にも安価で注目されます。
https://nordot.app/923073374321065984

減肥できるか調べる

岩手県農業研究センターは、減肥可能かを自宅で簡単に判定できる土壌の簡易評価法を開発。

もし減肥できるのであれば、それだけコストダウンも期待できます。
https://www.agrinews.co.jp/news/index/92824



参考：
asis1.pdf (maff.go.jp)
塩化カリ価格の高騰懸念　ロシアとベラルーシから25％｜JAcom 農業協同組合新聞